物流という言葉の意味するところ(2) サプライチェーンの範囲とは

物流という言葉について狭くとらえがちなのは事業者側だと思います。運送会社であれば運送を物流と考えます。倉庫会社であれば保管と入出庫を物流と認識します。

 

ところが事業者にとっての顧客、すなわち「荷主」にとってみると事情が違います。荷主はサプライチェーン全体を物流と考えることもあるので注意が必要です。

 

荷主の会社の中でも大会社でもない限り物流担当専任部署があるとは限りません。一人の担当者が資材調達から生産管理、物流を見ていることはよくあることです。

 

この荷主のニーズを満足させるためには物流をより広くとらえ、対応していくことが望まれます。物流事業者には物流の範囲を広くとらえて欲しいということにあります。

 

とかく自分たちができない業務は対象外ということになりがちです。もし自分たちでできないのであれば、他社にやってもらえば済む話ですから。

 

サプライチェーンの範囲はサプライヤーからものが入ってくるところから始まります。この過程を調達と呼びます。調達ではトラック輸送で行われるのが大半ではないでしょうか。

 

そしてそれを生産工程に払い出します。この過程を工場内物流または構内物流と呼びます。払い出された資材を使って生産が行われます。生産が完了した製品は工場内物流によって出荷場または倉庫まで運搬されます。

 

出荷場から先は多くはトラックで輸送されます。場合によっては船舶や鉄道、航空機を使うことになりますよね。

 

この輸送機関をどうするかは輸送モードの選択ということになります。品質やコスト、リードタイムその他の要素を勘案して選択するわけですが、運送会社からはトラック輸送の話しか出てきません。

 

実際に上記のようなサプライチェーン全体について荷主は効率化したいと考えているわけです。物流については物流事業者に相談すれば何とかなると思っているのです。

 

しかしこの物流についての定義が異なるために、事業者に相談しても回答が来ないのです。もしかしたら当然のことかもしれません。八百屋に魚を買いに行っても仕方のないことですから。

 

ただし運送事業者、倉庫事業者ではなく、総合物流事業者という存在があります。荷主はそこに頼ればある程度の解決になります。

 

逆に運送事業者や倉庫事業者もサプライチェーンについて勉強し知識を増やすことで、荷主の困りごとには対応すべきでしょう。

 

繰り返しになりますが、自社でできなければパートナー会社に依頼すればよいだけの話ですから。

 

次回に続きます。

 

 

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